アートな仕事ークVol.9 アートと安全 そこでは何が守られるのか
アートな仕事ークVol.9 アートと安全
そこでは何が守られるのか
会場 金沢市民芸術村PIT5 アート工房
*参加無料
*岡千穂パフォーマンス 決行!
12月18日(月)13:00~13:30
野外水上ステージ
トークイベント① 心の安全 美術のケアとアクセシビリティ
ゲスト:西原珉
2023年12月16日(土)17:00-18:30
トークイベント② 体の安全 危ない橋の渡り方
ゲスト:津田三朗
2023年12月17日(日)17:00-18:30
関連展覧会 「 OVER ROAD 」
2023年12月16.17.18日(土、日、月)10:00-17:00
「アートな仕事ーク」とは、一つのテーマから芸術分野の現場に関わる専門分野をピックアップし、その分野に携わる方々とトークイベント形式でそのテーマや分野を現場の観点からとことん掘り下げるアート工房の年次企画です。これまで、地方で芸術祭を開催する個人ディレクター、育児をテーマに作品を制作し、社会学研究を行う夫婦、自身で製本まで行う絵本作家など、様々な分野の方をお招きしてトークイベントを行なってきました。
第9回目となる今回は「安全」という観点からお招きしてトークイベントを開催します。また、関連イベントとして、「安全」をテーマにとした展覧会を同時開催し、トークイベントと実際の展覧会空間及び作品を合わせて「安全と芸術」を考える機会とします。
昨今、芸術をめぐる問題は、作品と人命に関わるものから、さまざまな人に対する空間やイベントのアクセシビリティ、そして作家が作品を作る際のケア及び人との関係をめぐるセーフティラインにまで及び、また考える必要があります。表現の自由と安全対策との間の中で作品や空間ををどのように実現するか、そして、そこに関わる人々や作品との間に生ずる倫理をどのように考えるのか、芸術を通して心身の安全な場所をどのように作り上げるか、そこではどのような技術が開発されうるのか、様々な事例を元に、各々の専門家の知見から安全と芸術の関係を探ります。
また、関連展覧会を開催することで、「安全」という概念自体を作品から解きほぐすことを狙います。
トークイベント
①心の安全 美術のケアとアクセシビリティ ゲスト:西原珉
2023年12月16日(土)17:00-18:30
展覧会やアートを取り巻く運営、ワークショップなど、作品や人々が繋がりを持つ中でどのようなアクセシビリティを設定することができるのか。その方法論やアートの技術を通して安全な対話や表現を行える場を作ることとその意義について、西原珉さんをお招きし、西原さん自身の実践から、アートにおける鑑賞やコミュニケーション、表現がどのようにケアとつながっていくのか考えます。
ゲストプロフィール
西原珉
キュレ—ション、米国心理療法士。90年代の現代美術シーンで活動後、渡米。ロサンゼルスでソーシャルワーカー兼臨床心理療法士として働く。心理療法を行うほか、シニア施設、DVシェルターなどでコミュニティを基盤とするアートプロジェクトを実施。2018年からは日本を拠点にアーティストや作り手のための相談と心理カウンセリングのほか、アートプロジェクトを通じたコミュニティのケアに力を注いでいる。現在、秋田公立美術大学教授。 アートセラピーを活用したワークショップ「トナリプロジェクト」、ケアする人のためのケア「クッション」で活動中。
②体の安全 危ない橋の渡り方 ゲスト:津田三朗
2023年12月17日(日)17:00-18:30
美術と安全基準をめぐる問題は、表現の自由の名の下に不透明化されるか、あるいは公園の遊具の撤去とも通ずるような安全の「厳格化」という規制の情勢に晒されるかという二極化を孕んでいます。そこで、津田三朗さんをお招きし、アートと安全の関係、そして表現と身体の安全の「基準」がどこに置かれるべきか、その境界線の引き直しを試みます。
ゲストプロフィール
津田三朗
造形作家、舞台美術、アートテクニック、肩書きはいろいろ。 舞台では「水族館劇場」「劇団ギガ」、映像では「水のない八月」(石井聰互監督)「Helpless」 (青山真二監督)「森の木琴」(NTTdocomo webムービー)の空間構成や美術を担当。造形では「大野城まどかぴあモニュメント」等。子ども向けに物語から始まる造形ワークショップ。見えないモノ触れられないモノの形を追いかけるワークショップ等も手掛ける。
関連展覧会 「OVER ROAD」
2023年12月16.17.18日(土、日、月)10:00-17:00
会場 金沢市民芸術村PIT5 アート工房
出展作家 岡千穂・深田拓哉・山岸耕輔
企画 山岸耕輔
〈ステートメント〉
現代社会の中でさまざまなリスクが認知された今、「安全」の基準が日々問われている。安全基 準は、人類が培ってきた経験をもとに予期される危険な状況から回避するための目安として設け られた。しかし、近年の安全基準の厳重化により、モノの用途や人々の振る舞いに対して、過剰 なまでの制限がかけられるようになった。このことによってモノや生きることの本来性が揺るが されているのではないだろうか。
岡、深田、山岸の3人は制作による実践の中で、それぞれが対象とするモノを意図的に「誤用」し、 そこで発生するリスクのマネジメントを行いながら新しい関係を作り出す。 「誤用」は安全の基準から逸脱した行為でもあると言えるが、そのモノが持つ本来的な働きの一 部分に触れる行為でもある。「誤用」からモノの本来的な働きを考え直すことは、リスクを再認 識する運動になる。それは、未来を予期するエクササイズであり、世界を捉え直す練習である。
アーティストプロフィール
岡千穂
1995年岡山県生まれ。2021年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。即興的なオペレーションを含むコンピューターミュージック、音楽を形作るプログラムや条件への興味関心に軸足を置く。練習や演奏のために得たメディア技術やそれによるアイディアを基に、パフォーマンス作品などを制作する。
深田拓哉
1995年東京都出身。2022年金沢美術工芸大学大学院彫刻専攻修了。主に鉄を用いて、忘れられた物体、現象、行為などを想起させる作品を制作する。
山岸耕輔
1995年石川県生まれ。2022年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。現在は秋田を拠点に活動中。道具を扱う身体を用いて、日常にある些細な違和感を映像によって描写する。近年では3Dペンとクロマキー合成の技術を応用して新しい映像表現を模索している。
パフォーマンスイベント
展覧会「OVER ROAD」の関連イベントとして、展覧会参加者の岡千穂によるパフォーマンスイベントを行います。
○岡千穂パフォーマンス
*強風により、12月18日(月)に延期となりました
2023年12月17日(日)13:00〜13:30 *参加無料
場所:金沢市民芸術村PIT3前 野外水上ステージ
音楽を聴く際に必ずと言っていいほど用いられ、生活でも広く馴染みのあるスピーカー。このスピーカーに過剰な電力を送り、それを熱に変えてスピーカー自体を発火させるサウンドパフォーマンスを行います。
当日はゲストヴォーカリストに田上碧をむかえ、田上と岡による本パフォーマンス書き下ろしのオリジナルソングを演奏します。曲に合わせて岡千穂が田上のヴォーカルのヴォリュームを上げ、田上の声量が上がるとともにスピーカーが発火、燃えたぎるスピーカーと田上の歌唱が絡み合い、最後は火を消化することでパフォーマンス演奏は終幕します。ぜひお越しください。
ゲストプロフィール
田上碧
ヴォーカリスト。2014年頃より野外から劇場空間まで幅広い場で体ひとつで歌うことから活動を始める。歌うことの行為や現象としての側面を浮き彫りにするパフォーマンス、歌と語りを織り交ぜた楽曲の演奏、即興演奏や詩作など、シンプルな実践を通して声と身体による表現の可能性を探る。2019年、インドネシア滞在を経てヴォイスの即興演奏を始め、2022年からは自作曲の弾き語りを中心に活動中。2023年よりバンド「ガラグア」始動。
アクセス
金沢市民芸術村 石川県金沢市大和町1-1 TEL076-265-8300
・バス バス停【武蔵ヶ辻・近江町市場】発 「香林坊」経由「新金沢郵便局」行 バス 停【大豆田」】下車 徒歩5分
・車 北陸自動車道「金沢西I.C」から片町方面に約10分 ・金沢駅・片町交差点から 徒歩15分、タクシー5分
主催:金沢市民芸術村アクションプラン実行委員会
共催:金沢市、(公財)金沢芸術創造財団
企画担当:金沢市民芸術村アート工房ディレクター 宮崎竜成、モンデンエミコ
フライヤーデザイン:宮本日向子